Posts on Oct 2018

Preferred NetworksとPFDeNAが、深層学習技術を用いて少量の血液でがん14種を判定するシステムの共同研究を開始

2021年を目標に社会実装し、がんの早期発見・健康寿命延伸を目指す

株式会社Preferred Networks(代表取締役社長: 西川 徹、以下PFN)と株式会社ディー・エヌ・エーとPFNの合弁企業である株式会社PFDeNA(代表取締役社長:守安 功、以下PFDeNA)は、深層学習技術を活用し、少量の血液で14種類のがん※1を早期発見する検査システムの研究開発を開始します。

 

本研究では、国立がん研究センター(以下 NCC)にて、提供者の同意を得て研究用に収集された血液検体(以下 NCCバイオバンク検体)、ならびに臨床情報を用いて開発を行います。PFDeNAは、このNCCバイオバンク検体を個人が特定されない形で取扱い、次世代シーケンサー※2を用いてExRNA※3発現量を計測します。PFNは、計測されたExRNAの発現量と臨床情報を用いて、深層学習によって学習・評価・解析します。これにより、血液中のExRNAの発現量を元に14の種類別にがんの有無を高精度に判定できるシステムの実用化を目指します。

 

社会的背景

がんは、日本人の死因の第1位となっており、その死亡者数は年間37万人を超え、増え続けています。日本人の2人に1人ががんを患い、死亡した人のうち3.6人に1人ががんによって亡くなっている状態です。*

その一方で、がんは早期発見することが重要にもかかわらず、日本国内の各種がん検診の受診率は3割程度と、先進国の中でも低水準にとどまっています。がん検診は、がんの種類により異なる検査方法で体の部位・臓器それぞれを検査する必要があり、その精度のばらつきや、検診費用、身体的負担などが課題となっています。

そのような中、近年ではmiRNA※4を含むExRNAの遺伝子発現量に着目した研究が多数報告され、各臓器のがんに特徴的に発現するmiRNAが存在していることがわかってきました。がんに罹患すると体液中で発現しているmiRNAの種類や量が変動するため、簡単に採取できる血液などを使ったがん診断が期待されています。

 

今後について

本研究の成果は、PMDA※5の承認審査を経る等した上で、2021年を目標に社会実装(事業化)を行い、広く活用されていくことを目指します。

これにより各種がん検診において、少量の血液採取で14種のがんの早期発見ができるようになり、高精度かつ患者負担が少ないがん検査が普及することが期待されます。将来的には日本国内におけるがん検診の受診率の向上、がんの早期発見による死亡率の低減、健康寿命の延伸、医療費の削減に貢献していきます。

 

※1 14種のがん: 胃がん、大腸がん、食道がん、膵臓がん、肝臓がん、胆道がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、子宮体がん、前立腺がん、膀胱がん、腎がんが本研究の対象。

※2 次世代シーケンサー: DNAの塩基配列を並列的に高速に読み出せる装置

※3 ExRNA: 本研究で示すExRNAとは、血液などの体液中に存在するRNAのことで、本研究においては主にmiRNA(マイクロRNA)を指す。miRNA は様々な生命活動の調節に寄与しており、診断用のバイオマーカーとして応用が期待されている。

※4 miRNA: 遺伝子発現を調整する効果を持つ20塩基程度のリボ核酸

※5 PMDA: 独立行政法人医薬品医療機器総合機構のこと。医薬品や医療機器などの品質、有効性および安全性の承認審査を行う機関。 https://www.pmda.go.jp/about-pmda/outline/0001.html

 

*出典:「平成 29 年(2017) 人口動態統計月報年計(概数)の概況」(厚生労働省)

オープンソースの深層学習フレームワークChainer および 汎用配列計算ライブラリCuPy の最新版となるv5をリリース

株式会社Preferred Networks(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:西川徹、プリファードネットワークス、以下、PFN)は、オープンソースの深層学習フレームワークChainer(TM)(チェイナー)および汎用配列計算ライブラリ CuPy(TM)(クーパイ) のメジャーアップデート版となるv5 をリリースしました。

6か月ぶりのメジャーバージョンアップとなる今回、これまで追加パッケージとして提供していたChainerMN(チェイナー・エム・エヌ、分散深層学習パッケージ)を統合し、より簡単に利用できるようになりました。最新版v5では、v4までのコードをほとんど変更することなくそのまま動作させることが可能です。

 

Chainer v5およびCuPy v5の主な特長は次の通りです。

  • 分散深層学習パッケージChainerMNを統合

・Chainerの一部として統合され、より簡単に、複数GPUによる高速な分散深層学習を実行可能

  • データ拡張ライブラリNVIDIA(R) DALI に対応

・JPEG画像のデコードやリサイズなどの前処理をGPUで処理することにより高速化

  • FP16をサポート

・ほとんどコードを変更することなくFP16モードに変更可能

・メモリ消費が減ることで、より大きなバッチサイズが使用可能

・NVIDIA(R) Volta GPUのTensor コアを使用することにより、さらに高速化可能

  • 最新のインテル(R) アーキテクチャに対応

・v4で導入されたChainer Backend for Intel(R) Architecture (旧iDeep)の最新版(Version 2)に対応し、インテル(R) プロセッサーでの学習および推論を高速化

  • 静的グラフに対する計算の高速化・省メモリ化

・学習を通して変化しない静的グラフをキャッシュすることで、その部分の計算やメモリ使用を最適化し、学習速度を20~60%高速化

  • CuPyが相互連携強化Anaconda Numba、PyTorchと相互に並列データを交換

・Anaconda NumbaによりJITコンパイルされた関数にCuPyの配列をダイレクトに渡すことが可能

・DLpack:PyTorchなどの他フレームワークと相互に配列データ交換可能

  • CuPyの基礎的な操作を50%高速化

・メモリ確保や、配列の初期化などの性能が向上

 

 

ChainerおよびCuPyの開発は、外部コントリビュータの開発成果を数多く取り入れています。PFNは今後も、最新の深層学習研究の成果を迅速に取り入れ、サポート企業やOSSコミュニティと連携しながらChainerとCuPyの開発・普及を推進してまいります。

 

 

  • オープンソースの深層学習フレームワークChainerについて

PFNが開発・提供するChainerは、Pythonベースのディープラーニング向けフレームワークとして、“Define-by-Run”の手法を通じてユーザーが簡単かつ直感的に複雑なニューラルネットワークを設計するための高い柔軟性とパフォーマンスを兼ね備えています。2015年6月にオープンソース化されたChainerは、最も普及しているディープラーニング向けフレームワークの1つとして、学術機関だけでなく、ディープラーニングがもたらすメリットを現実世界のアプリケーションや研究に活用するための柔軟なフレームワークを求める産業界の多くのユーザーに支持されています。

Chainerは、最新の深層学習研究の成果を迅速に取り入れ、ChainerRL(強化学習)/ChainerCV(コンピュータ・ビジョン)/ChainerUI(学習ログの可視化)/Chainer Chemistry(化学、生物学分野のための深層学習ライブラリ)などの追加パッケージ開発、Chainer開発パートナー企業のサポートなどを通して、各分野の研究者や実務者の最先端の研究・開発活動を支援していくことを目指しています。(http://chainer.org/

CEATEC Japan 2018でパーソナルロボットシステムを初公開、全自動お片付けロボットシステムを展示

株式会社Preferred Networks(本社:東京都千代田区、代表取締役社長CEO:西川徹、以下、PFN)は、幕張メッセで開催されるCEATEC JAPAN 2018において、現在開発中のパーソナルロボットシステムの技術デモとして「全自動お片付けロボットシステム」を初公開します。

PFNでは、ロボットが身近な場所で活躍する社会の実現に向けて、パーソナルロボットの技術開発を進めています。工場などの規格化された環境と異なり、人間の生活空間で働くロボットには、複雑で変化する状況への柔軟な対応や、人との自然なコミュニケーションが求められます。

今回、PFNブース(A060)では、トヨタ自動車株式会社が開発する ”生活支援ロボットHSR(Human Support Robot)” を使い、従来の物体認識・ロボット制御技術では困難だった「散らかった部屋の全自動お片付け」のデモンストレーションを行います。ロボットが、乱雑に置かれた洋服、おもちゃ、文房具など、家庭にある様々な物体を認識してつかみ、所定の場所に片付けていきます。また、ロボットに対して人が口頭やジェスチャーで片付け指示を出すなど、直感的なコミュニケーションによるロボット操作もご覧いただけます。

全自動お片付けロボットシステムの詳細は特設ページをご覧ください。
https://projects.preferred.jp/tidying-up-robot/

この全自動お片付けロボットシステムは、CEATEC JAPAN 2018に展示されるイノベーション性が高く優れている技術・製品・サービス等を表彰する「CEATEC AWARD 2018」 において、インダストリ/マーケット部門の準グランプリに選ばれました。

  • PFN展示ブース

・期間:2018年10月16日(火)~19日(金)10:00~17:00

・展示エリア:トータルソリューションエリア  ホール2(ブース番号A060)

・展示内容:パーソナルロボットの技術デモ「全自動お片付けロボットシステム」(初公開)

 

また、開幕初日の基調講演CEATEC Keynote Futureに代表の西川徹が登壇し、「すべての人にロボットを」と題した講演を行います。講演では、PFNが注力する最先端の機械学習・深層学習技術とロボティクスを応用することで、実世界の課題をどのように解決するか、また、今後の技術の展望についてご紹介します。

  • 基調講演CEATEC Keynote Future

・日時:2018年10月16日(火)12:30~13:15

・会場:幕張メッセ 国際会議場 コンベンションホール

・講演者:株式会社Preferred Networks 代表取締役社長 CEO 西川徹

・講演概要:すべての人にロボットを

機械学習技術の発展により、ロボットの可能性は急速に拡大しています。様々な状況への柔軟な対応や、より人に近い作業をロボットが行うには、機械学習技術とロボティクスの融合が必要不可欠です。今後はより多くの場所で、人々がロボットの力を活用する場面が増えてくるでしょう。そのような新しいロボットの時代に、テクノロジーがどのように活用されうるのか、今の技術と今後の展望、そして私たちの新しい取り組みについて講演する予定です。

Preferred Networksのテクニカルアドバイザーに東京大学の五十嵐健夫教授が就任

株式会社Preferred Networks(本社東京都千代田区、代表取締役社長CEO 西川徹。以下「PFN」)において、東京大学大学院情報理工学系研究科教授である五十嵐健夫氏が、本年8月1日付けでテクニカルアドバイザーに就任しました。

五十嵐教授は、ユーザインタフェース研究の第一人者で、二次元のスケッチから三次元オブジェクトをインタラクティブに作成する著名な手法Teddyを始めとする数多くの研究成果をインタフェース、コンピュータグラフィクスの国際会議で発表し、最近ではJST CREST HCI for Machine Learningプロジェクトにおいて研究代表者を務め、機械学習技術を使いやすくするための研究を行っています。

今回のテクニカルアドバイザー就任では、PFNのヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)およびヒューマンロボットインタラクション(HRI)関連研究に対して、インタラクションに関するノウハウをはじめとする技術的なアドバイスや指導をいただくことで、開発および実用化を加速することを目的としています。

PFNにおけるHCI関連の活動と五十嵐教授との協業の詳細はResearch Blogをご覧ください。

 

五十嵐健夫 教授

Takeo Igarashi

  •  略歴

2000年、東京大学大学院においてユーザインタフェースに関する研究により 博士号(工学)取得。2002年3月に東京大学大学院情報理工学研究科講師就任、 2005年8月より同助教授、2011年5月より教授。IBM科学賞、学術振興会賞、 ACM SIGGRAPH Significant New Researcher Award,  Katayanagi Prize in Computer Science 等受賞。 ACM UIST 2013 program co-chair, ACM UIST 2016 conference co-chair, ACM SIGGRAPH ASIA 2018 Technical papers program chair。 ユーザインタフェース、特に、インタラクティブコンピュータグラフィクスに関する研究に取り組んでいる。

深層学習による高精度な外観検査ソフトウェアをリリース

圧倒的に少ない学習データで短期間・安価にシステムを構築可能

株式会社Preferred Networks(本社:東京都千代田区、代表取締役社長CEO:西川徹、以下、PFN)は、深層学習技術を使った高精度な外観検査ソフトウェアPreferred Networks Visual Inspection(プリファードネットワークス ビジュアル・インスペクション)を開発し、2018年12月よりパートナー企業へのライセンス提供を開始します。また、2018年10月18日(木)に、幕張メッセで開催されるCEATECの新製品セミナー(N3-5)にて製品発表を行います。

機械学習・深層学習技術の活用が広がり、製造現場の外観検査システムへの応用も進んでいます。しかし、深層学習技術を活用した外観検査システムは、数千枚単位の大量の学習用画像データや、画像処理エンジニアによる学習支援が必要な上、検査結果の説明性が乏しいなどの課題がありました。

PFNは、深層学習フレームワークChainer(TM)の開発や、重点事業領域とする交通システム、製造業、バイオヘルスケア分野への深層学習技術の応用によって蓄積した技術力・ノウハウを活かし、これまでの外観検査システムの課題を解決するPreferred Networks Visual Inspectionを開発しました。

  • Preferred Networks Visual Inspectionの特長
  1. 少量の学習データ(良品画像100枚と不良品画像20枚から)で検査ラインを短期立ち上げ
  2. 金属・プラスチック・布・食品など、様々な素材・形状に対応
  3. キズ・異物・汚れなどの異常箇所の可視化による高い説明性
  4. 直感的な学習UIにより、エンジニアでなくても簡単に操作

 

PFNがPreferred Networks Visual Inspectionとして提供するのは、学習支援ソフトウェアとCPU版異常検知ソフトウェアです。システムの構築にあたっては、ライセンスパートナーから、学習ワークステーション、検査機PC、撮影装置、可視化・操作UIなどを必要条件に応じて自由に組み合わせて導入することが可能です。また、高速検査のためのGPU版異常検知ソフトウェアもオプションで提供します。

これにより、運用のシンプルさと高精度を両立した自動外観検査システムを安価に短期間で構築でき、コストやシステムの柔軟性の問題から、これまで自動化できなかった製造ラインにも導入しやすくなります。また、問題個所を可視化する高い説明性があるため、個人のスキルに頼りがちな製造現場での技術継承やノウハウの横展開にも有用です。

 

Preferred Networks Visual Inspectionと従来製品の比較

 

 

  • 製品発表

幕張メッセで開催されるCEATECの新技術・新製品セミナー(N3-5)「ディープラーニングを応用した製品不良検知ソフトウェアおよびピッキングロボットソリューション」の中で、Preferred Networks Visual Inspectionの製品発表を行います。

 

PFNは今後も、機械学習・深層学習技術の実世界への応用を推進していきます。